幸せの晴れ
私は清水さんに誕生日を教えた記憶がない。
「前にエコー写真を見せてもらった時、陽菜ちゃん、母子手帳ごと渡してくれた事があってね。
その時たまたま見えちゃったんだ。」
「そうなんだ。
覚えててくれてありがとう。
早速飾りたいんだけど、花瓶なんてないよね?」
「ないから買ってきた。」
カバンと紙袋を手に提げていた清水さんは、紙袋を私に差し出す。
「ありがとう。」
紙袋を受け取りキッチンへと向かう。
花束は真っ白いユリの花。
すごく綺麗で、見ているだけで何となく心があらわれるような気がした。
茎を少し短く切って花瓶に活けると、私はそれをリビングのテーブルに飾ってみた。