キミがくれたコトバ。
34.5



「第5チェックポイント〜!密室を経験して、更に絆が深まった2人を、見せつけちゃお〜!スタ ート!!」

第5チェックポイントに着いた時には既に、日奈子と澄春くんがいた。

『あのね……、澄春と日奈子ちゃん、付き合うんだってさ。』

モヤモヤする……。

「あ、日奈子ちゃんじゃん。」

愛美が手を振ると、突然とんでもないことを言い出した。

「あのね、私達、付き合うことになったの。」

は?

「ねー、颯磨!」

「え。」

いや、付き合うことになんてなってないだろ。

どうしたんだ、愛美……。

ちゃんと反論しなくちゃ。

「いや……!」

「颯磨ったら私にデレデレで。」

言葉を遮られた。

ど、どういうことだ……?

「颯磨の意外な一面まで見られたしね。」

あ、愛美……!?

「日奈子ちゃん。」

澄春くんが言った。

僕は反応してしまう。

そしてそのまま彼は日奈子の頭を撫でた。

見ていられない。

駄目だ、……触るな……。

そんなこと思う権利無いけど……。

「ところで、澄春達も付き合ってるんでしょ!」

聞きたくない。

「いや、僕達は……、」

え……?

どういうこと……?

「やっぱり!付き合ってるんだね!おめでとう!」

愛美が澄春くんの言葉を遮った。

何かがおかしい。

愛美の様子が、何かおかしい。

「あ、そういえば、当然キスはしたでしょ?」

っ………!

キス……したのか……?

日奈子と初めてあった時のことを思い出した。

思い出しただけで、顔から火が出そうなくらい
恥ずかしい思い出だ……。

何であんなことしたんだろう……。

キスじゃなくても、良かったかもしれないのに……。

「密室があったんだもん。キスしないカップルなんていないでしょ?ね?ね、颯磨。」

急に振られても、世の中のカップルなんて全く見たことがないから分からない。

「そうなのかな?」

だから、曖昧な答えになってしまった。

「僕達はキスしてないよ。」

……………。

澄春くんのその言葉を聞いて、ホッとしてる。

最低かもしれないけど、僕はキスしたことがあるけど、澄春くんがしていないと聞いて、少しだけ優越感が……って、最低すぎる……。

「え〜!してないの!?」

良かった……。

「うん、だから今ここでする。」

…………………!?

「す、澄春くん……!?」

「見せつけるところだから良いでしょ。」

そんな、駄目だ!

僕は思わず、愛美に組まれていた腕を離した。

澄春くんが日奈子の肩に手を置いた。

駄目だ、絶対駄目だ!

2人の顔が近づいていく。

そして日奈子が目を瞑った。

何もすることができない自分。

本当に嫌になる。

何もできない……?

それは本当……?

何もできないせいにして、本当はできることまで諦めてしまっているのではないだろうか。

2人を止めることだって……!

でも、僕にそんな権利……、いや、権利なんて関係ない!

駄目だ!

「日奈子!!」

僕が叫ぶと同時に、学校中の電気が一気に消えた。

「やだー!」

「何事!?」

「なんか、照明が切れたっぽい!」

「何で!?!?」

周囲が大混乱に陥る。

見えない……。

けど見える。

日奈子のことは、ちゃんと見えるよ。

姿は見えないけど、距離からしてこのくらい。

僕は日奈子の腕を掴んだ。

「わっ!」

その声、やっぱりそうだ。

今だったら逃げられる。

澄春くん、ごめん。

やっぱりどうしても諦められないって、やっと気づいたんだ。

「す、澄春くん……!?」

澄春くんじゃないよ……。

でも、さっきまで日奈子の隣にいたのは澄春くんだ。

間違えても無理はない。

「でも、何でだろう……。一瞬だけ、颯磨くんなんじゃないかって思っちゃった。」

えっ……………?

「なんて、そんなわけないのにね。」

そんなわけあるよ。

僕だよ、日奈子……。

「澄春くん、さっきはありがとう。頭撫でてくれたでしょ。あれ、私のことを思ってだよね。」

っ………それは……、どういう意味だ………?

「こちらで〜す!こちらにお入りくださ〜い!」

いつまでも走り続けているわけにもいかなかった。

丁度、生徒会の人が、小部屋に案内してくれた為、取り敢えずそこに入ることにした。

カチャ

えっ……、か、鍵……!?

「お騒がせしてすみません。まもなく照明がつきます。」

そうアナウンスが流れたと思うと、

バチンッ

電気がついた。
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