人面瘡
裏山
それから先、授業で何をしたのかあたしはほとんど覚えていなかった。


自分の背中にまで現れたおつねの顔が脳裏から離れない。


アザを見てしまった春子はあたしのことを気にかけてくれたけれど、本当のことなんて説明できなかった。


そのまま放課後になり、茫然と自分の席に座ったままだったあたしの前に雄生がやって来た。


「アズサ、大丈夫か?」


優しい声でそう聞かれるだけで涙が滲んだ。


もう、誰を信じて、誰を頼ればいいのかわからない。


あたしはこのままおつねの呪いで死んでいくんじゃないかと、不安と恐怖で押しつぶされてしまいそうだった。


「雄生……あたし、背中にも、顔が……」


涙で言葉が途切れながらあたしはそう言った。


雄生は目を見開いてあたしを見る。


「嘘だろ……」


背中に大きくできたアザ。


あれを切り取ろうとすれば、きっとあたしは命の危機にさらされるだろう。
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