人面瘡
「あたしの……背中。どうなってる……?」


そう質問する声が大きく震えた。


恐怖で全身が凍てついているのに、汗が止まらない。


「なにか大きなアザができてるよ? ちょっと、こっちに来て」


春子に手を引かれて、あたしは全身鏡の前に立った。


今にも倒れてしまいそうなくらい青ざめているあたしが写る。


「背中を向けて」


春子に言われるがままに、あたしは全身鏡に背中を向けた。


春子が手鏡を取り出してあたしに渡してくれた。


合わせ鏡で確認したあたしの背中には……大きなおつねの顔が浮かび上がっていたのだった……。

< 146 / 204 >

この作品をシェア

pagetop