人面瘡
☆☆☆

雄生がおつねの顔を切り取っている間中、おつねの叫び声が聞こえて来ていた。


傷口を押さえるタオルはあっという間に真っ赤に染まり、体から力が抜けて行くのを感じた。


雄生が切り取り終えたカ所をキツク押さえてくれているけれど、それでも血は流れて行く。


「くそっ……出血が……」


「雄生、もういいよ」


あたしは弱い声でそう言った。


「でも……! そうだ。病院へ行こう。ちゃんとした施設でやってもらえば大丈夫だ」


「そうかもしれない。でも、アザは何度もできるんだよ。その度に病院へ行くことはできないでしょ」


「それでも切り取らなきゃいけないだろ!」


雄生の叫びは、涙声になっている。


きっと、雄生自身もこれ以上は無理だとわかっているのだ。
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