人面瘡
「くそっ!」


雄生が舌打ちをしてあたしのブラウスを乱暴にはぎ取った。


「私はもうすぐ蘇る! お前の体を奪ってな!!」


耳を塞いでいてもおつねの声は聞こえて来た。


まるで、頭の中に直接響いてきているような感覚だった。


おつねの笑い声に酔ってしまいそうになった時、雄生がカッターナイフを取り出すのが見えた。


「雄生……?」


「大丈夫。すぐに終らせるから」


「待って、そんなことしたらあたし!」


「すぐに止血する。絶対にアズサを死なせはしない」


雄生は力強くそう言いあたしの背中にカッターナイフを押し当てたのだった。
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