人面瘡
☆☆☆

翌日の放課後、あたしと雄生は二人で裏山へと来ていた。


おつねの石碑の前に立ち、それを観察する。


石碑にはおつねという女性の事が少しだけ書かれてあったが、むごい現実については一切触れられていなかった。


これだけ読めばおつねは恵まれた家に生まれたお嬢様のように感じられる。


「どうして本当のことを書いてないんだろう」


あたしは憤りを感じてそう呟いた。


「この街にはおつねを殺した奴の子孫だっているかもしれない。生きている人間に配慮したんじゃないか?」


雄生がそう言って顔を顰めた。


死んだ人より生きている人を大切にしなければいけないのはわかる。


けれど、それで事実を隠したり捻じ曲げたりするのは、やっぱり納得できなかった。


「ちょっと待って」


ふと思い立ったことがあり、あたしは雄生を見た。


「なに?」
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