人面瘡
「それは……そうじゃありません」


おつねの呪いのことを話すべきか、やめておくべきか。


あたしは雄生を見た。


雄生は真剣な顔で頷き返してくれる。


「おつねさんの顔は今でもまだ見つかっていないんですよね」


そう言うと、男性は動きを止めてあたしを見おろした。


その顔は怒っているようにも見えて、たじろいてしまう。


「なんだお前ら。そこまで調べてなにがしたい。夏に肝試しでもして遊ぶつもりか?」


「違います!」


あたしは慌ててそう言った。


「あたしは……あたしは……おつねさんに呪われてるんです」


声が震えて、頬を汗が流れて行った。


「呪いだと?」


男性が低い声でそう言い、あたしを睨み付けた。


「本当なんです!」


雄生があたしと男性の間に割って入り、そう叫んだ。
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