人面瘡
「嘘なんかじゃない! 遊びでもない! 彼女はおつねに殺されるかもしれない!」


「おつねに殺されるだと!? 無残に殺された人間に向かってよくそんなことが言えたな!」


「信じてください!」


「そんなもの信じられるか!!」


男性が怒鳴りつけたとき、あたしの中でなにかが弾けた。


視界は涙で滲んでいたけれど、自分の行動に迷いはなかった。


あたしはブラウスを脱ぎ捨て下着姿になって、男性の前に立った。


「なにして……」


男性が唖然としている前で、背中を向ける。


今朝、雄生の家で確認したんだ。


おつねの顔がまた背中に大きく出てきていることを。


あたしと雄生はおつねの口にきつくガムテープを貼り、登校して来ていたんだ。
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