人面瘡
おつねに少しでも近づくことができれば、ヒントは増える。


「あぁ。その人は今でもこの街一番の商人だ」


そう言われた瞬間駅前の商店街を思い出していた。


そこで一番大きな百貨店がすぐに浮かんでくる。


お店と家が隣接してあるその建物はまさに屋敷と呼ぶのに相応しい大きさをしている。


そしてその店は……。


「まさか、杉原さんの家?」


雄生がそう聞いていた。


「おぉ。さすがに知ってたか。そういえばあそこの娘さんはこの高校に通ってるらしいなぁ」


「春子のことだ」


あたしはそう呟いた。


街一番の商人の家。


それは春子の家のことだったのだ。


春子がおつねの子孫だなんて……。
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