人面瘡
「あぁ。おつねの呪いにかかって体を乗っ取られるとか、殺されるとか、色々と聞いて来た。それが原因かどうかわからないけれど、呪われたと言っていた人が実際に死んで行ったのも、俺はこの目で見た」


その話にあたしは息を飲んだ。


「だから俺はこの山を掘り返しておつねの頭がないかどうか調べたこともある」


「そうだったんですね」


雄生がそう言ってうなだれるのがわかった。


この山はすでに調べられていたのだ。


一番有力だと思っていただけに、落胆は大きい。


「だけど頭は見つからなかった。本当にどこに埋められたんだろうなぁ」


男性はため息交じりにそう言い、おつねの石碑を撫でた。


「あの、他になにか知りませんか? なんでもいいんです。彼女を助けたいんです」


必死の思いで雄生が言う。


すると男性が「そう言えばおつねの子孫に当たる人がまだこの街にいるぞ」と、思い出したように言った。


「本当ですか!?」


あたしは思わず声が大きくなっていた。
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