人面瘡
「ちょっとしみるけど、我慢してね」


そう言われてあたしは思わず体に力を込めた。


小さな頃怪我をするたびにしみる消毒液をつけられたことを思い出す。


「はい、終わり」


「え、もう?」


傷口を見ると確かに消毒液がたらされている。


けれど、全然しみなかった。


「これ、しみないタイプだったのかな」


沙和がそう言いながら垂れた消毒液を吹いてくれた。


そして絆創膏に手を伸ばした時、何かを思い出したようにあたしを見てきた。


「そういえば、絆創膏の裏に好きな人の名前を書いて使うと両想いになれるって言うよね」


「え、なにそれ?」


あたしは初耳で瞬きを繰り返して沙和を見た。
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