人面瘡
雄生はいつも通りのラフな格好で、なんだか拍子抜けしてしまった。


「なんだよ、いつもより可愛いな」


拍子抜けした途端にそんな事を言われるから、あたしはまた舞い上がってしまうのだ。


2人で家を出てブラブラと歩き出す。


特に行先は決めていなかったけれど、学校のことや最近の面白かったことを話している間にどんどん時間は過ぎて行く。


雄生と一緒にいるとつい会話が弾んで、遊ぶことまで後回しになってしまう。


そう思っていた時だった。


不意に右ひざにかゆみを感じた。


昨日綺麗に洗って包帯を巻きなおしているのだけれど、その下がうずいている。


「どうかしたか?」


急に無言になったあたしに雄生がそう声をかけてきた。


「ううん、なんでもない」


そう答えたけれど「痛むのか?」と、傷口を指さして言われてしまった。


「少しだけ……」


そう返事をすると「それならちょっと休もう」と言って、雄生はあたしの手を握ってファミレスへと入って行ったのだった。
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