人面瘡
相談する
傷口のことは雄生には言えなかった。


あんな気持ち悪い傷を見せるなんて嫌だったし、余計な心配をかけたくもなかった。


だけど、あたしには沙和がいる。


放課後になるのを待ってから、あたしは沙和を呼び止めた。


「どうしたの?」


「ちょっと話したいことがあるの。時間、ある?」


「いいよ?」


首を傾げている沙和と一緒にあたしは教室の後方へと移動した。


クラスメートの椅子を借りて座り、包帯を解いていく。


その間にも鈍いかゆみが襲ってくる。


包帯を完全に解き終えた時、沙和が目を見開いた。


傷口は昨日よりも更に人間っぽい顔をしてきているのだ。


あたしはそれを見て身震いをした。
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