人面瘡
「わからないの……」


「まさか、ジンクスのせい?」


沙和がふと思い出したようにそう言った。


「ジンクスって、好きな相手の名前を書くだけじゃん。そんなのでこんな傷ができるワケないよ」


あたしがそう言うと、沙和はホッとしたようにほほ笑んだ。


「そうだよね。ごめん、あたしの考えすぎ。この傷だって、病院へ通ってるんだからすぐに治るよ」


沙和はそう言ったのだった。
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