人面瘡
切除
次に目を開けた時、窓の外はすでに暗くなっていた。


あたしは周囲を見回し、そして気絶する前の出来事を思い出していた。


慌てて上半身を起こして右ひざを確認すると、そこには目を開けた傷口が存在していた。


白目と黒目がギョロギョロと動いてあたしを見ようとしているのがわかった。


あたしはヒッと息を飲み、包帯を傷の上にきつく巻き付けた。


巻き方はボロボロだったけれど、そんなこと気にしている場合じゃなかった。


そのまま一階へと駆け下りてリビングへ向かう。


リビングでは両親がテレビを見ている所だった。


「そんなに慌ててどうしたの?」


バタバタと足音を立てて駆け下りて来たあたしに、お母さんが驚いている。


「お願いお母さん、車を出して!」


あたしは大きな声でそう言ったのだった。
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