極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「……だから、熱海に?」
「はい……両親が好きだった地に訪れてみたいって、ずっと思ってて」
「そっか……」
話の流れから、車内の空気がどんよりと重苦しくなっていた。
慶太さんの声を最後に沈黙が流れ出し、無意識に「ごめんなさい」と謝る。
「あ、何か暗くしてしまいましたよね。せっかくの旅行なのに、すみません……」
「謝ることはないよ。だって、お互いのこと知るための旅行って目的で来てるんでしょ?」
「それは、はい……」
「だったら、しちゃいけない話なんて一つもない。俺も、のどかの話をたくさん聞きたいから」
フロントガラスの先を見つめる横顔には、穏やかな笑みが滲んでいた。
私が見つめる視線に気付くと、ハンドルを握る慶太さんの片方の手が、スカートの上にある手に重なる。
優しい力で握り取られて、トクトクと鼓動が早まった。