極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


ふわふわとした足取りで部屋の中に入りながら、「慶太さん」と声を掛けた。


「あの……見せたいものが、あるんです」

「見せたいもの?」


旅行に行くことが決まったあと、以前預かっていた婚姻届を手に取った。

慶太さんとの時間を過ごして、今より少しでも彼を知ることができたら、旅行先で書いた書類を見せたいと持ってきていた。

荷物が置いてある二階の広い寝室まで慶太さんに連れていってもらうと、バッグにしまってきた婚姻届を手に取る。

ベッドの縁に腰を掛けた慶太さんへそろそろと近付き、「これ……」と差し出した。


「今日、慶太さんのことをたくさん知ることができたら、渡そうと思って」


手渡された書類を開き、慶太さんはじっと紙面を見つめる。

穴が開くんじゃないかと思えるような真剣な眼差しをしばらく送ると、丁寧に元通りに紙を折りたたんだ。

< 257 / 358 >

この作品をシェア

pagetop