極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


ゔ……。

そう言われると、ますます立場がない。


「ごめんなさい! 本当に、わざとじゃなくて――」


必死に言葉を選びながら謝りだした私を、慶太さんはまたクスクスと笑う。

伸びてきた手が首の後ろに触れると、ぐいっと近付けるようにしてキスをされていた。


「冗談だよ。別にそんなこと、本当に思ってないから」

「でも……」

「のどかが可愛くて、それだけでも十分」


そうは言ってもらっても、“お預け”状態だったのは間違いない。

困ってもじもじしていると、慶太さんはシーツの下で素肌の私を抱き寄せた。


「焦らなくても、これからいくらでも時間はある。だから、そんな顔しないで」


慶太さんが余裕のない、自らを抑えることのできない人だったのなら、こんなことをきっとサラリと言えないだろう。

それどころか、私が眠ってしまおうが、自らの欲望を満たしていたはずに違いない。

私のことを大事に想ってくれているのがありありと伝わってきて、胸の奥がジンと熱くなる。

目前の胸板にそっと手を置いた。

< 268 / 358 >

この作品をシェア

pagetop