極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


会場内の視線がガーデンへと集まる先、そこでは、お弁当を食べ終えた美陽さん役の子役と、お父様役の役者がレジャーシートを立ち上がり、ボール遊びを始める。

他愛ない話から、「美陽、大きくなったらパパと結婚する」という、美陽さんがお父様によく言っていたという言葉が子役の口から飛び出す。

チラリとお父様の顔を窺うと、真剣な眼差しで再現される当時の光景を見つめていた。


「何言ってるんだ、いいか美陽、パパよりいい男を見つけろよ」


若き日の自分と重ね合わせ、そして、大切な娘に掛けていた言葉を思い出したのか、お父様の目から涙が一筋流れ落ちた。

薄暗く照明の落とされた会場内でも、美しい涙が頬を濡らした跡はしっかり光り残っていた。

クライマックスの場面を迎え、ガーデンに向けられていたスポットライトが、メインテーブル前に立つ美陽さんと、マイクを美陽さんに向けて共に立つ怜さんを照らし出す。

それを合図に、素早く両家の両親を誘導し、会場隅に引っ込んだ。

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