極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「ちょっと待ってください。一体、どういうご用件でこちらにいらしたのでしょうか」


パニックを起こしかけながら話にブレーキをかける。

聞き捨てならない言葉が二つも聞こえた。

結婚に、傘下に入るなんてこと。

そのどちらも全く身に覚えがない。

ここにきてやっと話を割った私に、園咲さんは澄子叔母さんに向けていた真面目な視線を移す。

そして、やっぱり上品な笑みを薄い唇に載せ微笑んだ。


「失礼……まだ名乗りもしていませんでしたね」


警戒心をむき出しに立ち尽くす私の前へと、園咲さんが一歩づつ近付いてくる。

懐からスマートに黒い革の名刺ケースを取り出すと、その中から取り出した一枚を私に差し出した。

< 45 / 358 >

この作品をシェア

pagetop