極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「ちょっと待ってください。一体、どういうご用件でこちらにいらしたのでしょうか」
パニックを起こしかけながら話にブレーキをかける。
聞き捨てならない言葉が二つも聞こえた。
結婚に、傘下に入るなんてこと。
そのどちらも全く身に覚えがない。
ここにきてやっと話を割った私に、園咲さんは澄子叔母さんに向けていた真面目な視線を移す。
そして、やっぱり上品な笑みを薄い唇に載せ微笑んだ。
「失礼……まだ名乗りもしていませんでしたね」
警戒心をむき出しに立ち尽くす私の前へと、園咲さんが一歩づつ近付いてくる。
懐からスマートに黒い革の名刺ケースを取り出すと、その中から取り出した一枚を私に差し出した。