極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「すみません……」
六名ほどが着けるテーブルは、ガーデンに向かって並ぶように二席がセッティングされてある。
私を席に着かせると、園咲さんもその隣へと腰を落ち着かせた。
程なくして、黒服のスタッフが食事の用意を始めにやってくる。
あっという間にカラフルなオードブルが載った前菜のプレートが目の前に置かれた。
「今日はお会いできて嬉しいです。こうして、一緒に食事ができて」
「何か、すみません……お話に伺っただけなのに、こんな……」
やんわりとした言葉を返しつつ、本来の目的が流されているような気分に落ち着けなかった。
ここに来るまで、人生をかけた戦いだと、戦に向かう武将のような気持ちでやってきた。
今回の件を、澄子叔母さんのために自分の力で何とかしたい。
結婚を迫り、それが叶わないなら会社を買収して傘下に入れる。
そんなことを言ってきた園咲さんは、うちにとっての憎っくき敵。
そう思ってやって来たのに、紳士な対応で柔らかく微笑まれ、『お会いできて嬉しいです』なんて言われてしまい、調子が狂う。
戦闘能力が吸い取られていくような気分だ。
でも、戦意喪失している場合じゃない。