彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「………君のことが好きならね」

「え!」

彼女も君のことが好きなら、同じことを思っているだろうね。『別れたくない』ってね」

「なにを………言ってるんだ………?」

女神様の言葉を聞いて、僕は震えた声で訊いた。

「彼女が一緒にいたいと思っているのは君ではなく、親友の方なんでしょ」

女神様にはっきりとした口調で言われて、僕の頭の中が真っ白になった。

つぼみも僕と一緒にいたいと思っていたが、それは僕の勝手な妄想だったことにさびしく感じた。そしてこのとき、片思いがこんなにも辛いことなんだと初めて知った。

「あきらめな、かなわない恋もある」

「それが、この恋?」

僕は、涙目で訊いた。

「ざんねんだけど、そうなるね」

女神様は、冷たく言った。

「まぁ、お金で人間関係をつなげている以上、彼女に限らず、誰も君のことをほんとうに好きにはなってくれないだろうね」

「………」

「彼女のために、もうこんなにお金を使うのはやめな。どっちみち、君と彼女は結ばれない運命なんだから。好きな人なんて、彼女以外にもまた出会えるよ」
< 142 / 209 >

この作品をシェア

pagetop