彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「きっともう、彼女は君のことを好きになってるはずよ」

「そんなことは、どうでもいいよ。どうして、お別れなんだよ!」

感情が高まったせいなのか、僕は大きな声で訊いた。

女神様と僕の間に恋愛感情はなかったが、別れるとなるとさびしい。季節が僕の嫌いな秋だろうか、別れっていう言葉がよけい悲しく感じる。

「君のお金が、なくなったからだよ。言ったでしょ、『私たちの関係も、お金でつながってる』って」

「あ………」

トーンを落として言った女神様のさびしそうな声を聞いて、僕の口は半開きのまま固まった。

脳内に記入された通帳ゼロの数字が浮かび上がり、僕の瞳がかすかに潤んだ。
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