『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
「では、改めまして、、、東 信一です。歳は今年で35歳になります。東物産の社長しています。こう、、、肩書きがあるとなかなか素敵な女性と巡り合うことが出来ずに、この歳までなってしまいました。」
「神崎ホールディングスの庶務課で働いております。増田美鈴と申します。歳は31歳です。あの、、、大変失礼ですが、お会いした事があると伺っていたのですが。その、、覚えが、、なくて、、、すみませんっ、、。」
美鈴は申し訳なさそうに下を向いた。
「、、、顔を上げてください。覚えていないのも無理もありません。あの日は、少し急いでいて私が貴方を突き飛ばしてしまったんです。小さい貴方は持っていた書類を全て落としてしまって、、、慌てて拾おうとした私に大丈夫だと笑ってくれました。その笑顔が忘れられなかった、、。それから貴方をたまにロビーで見かける度に嬉しくて。今まで出逢ったどんな女性よりも裏表がなく魅力的です。無理を言ってお願いしていたんですよ。神崎さんとは家族ぐるみの間柄だそうですね?諦めかけた頃に神崎さんから連絡を頂いて、飛び上がるくらいに嬉しかった。」