幸せを探して
放課後。


私はいつもの様に下校していた。


途中で愛来と別れ、1人で住宅街へと入っていく。


今日は雪が降らなかったので、保健室にも行かず、とても気分が良かった。


ただ、ザッザッと、私が雪を踏みしめて歩く音が響いていく。


響いていく…響いていく…ん?



私はある事実に気づいて立ち止まりそうになり、慌てて歩く。


(誰かにつけられてる…?)


(いや、違う!)


自問自答を繰り返す。



実際、後ろから誰かの足音が聞こえる。


きっと学生が家へと帰っている足音だ。


そうだ、きっとそうだ。



けれど、1度怖くなったらもう遅い。


私の中では、


「後ろにいる人=誘拐犯」


という式が綺麗に出来上がっていた。



私はその考えを振り払うため、停まっている車のナンバーを暗算で足し算していた。


けれど…。


(やっぱり無理!)


足し算なんかより、後ろにいる人が気になる!


私は観念して立ち止まり、後ろを振り向いた。


けれど、そこにいたのは誘拐犯ではなく斎藤君だった。


「斎藤君?何してるの?」


先程までてっきり後ろにいるのは誘拐犯だと思っていたからかなのか、私の声が震えている。
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