別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
「失礼します」
社長が座っているデスクの手前に応接スペースがあり、ソファとテーブルがある。
デスクに置いてあるネームプレートには『代表取締役社長 七橋雄一』の文字。
当然ながら、秋の本名が七橋秋なら、晴くんの本名も七橋晴だ。
晴くんに促されて高級そうな3人掛けのソファに座り、晴くんも何の緊張感もなく私の隣に座った。
社長は目を落としていた書類をデスクに置き、ゆっくりと立ち上がってこちらに歩いてきて、向かいのソファに腰かける。
その仕草だけで、厳めしく近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
きっと特に表情を作っているつもりはないんだろうけど、眉間に刻まれた大きなしわのせいで怒っているようにすら見える。
これが大企業の社長というものなのかと思ったらますます緊張してしまって、心臓の音が早くなる。
「ここに来たことを、秋は知らないよね?」
「…はい」
その言葉だけで、私にとって嬉しい話じゃないことは容易にわかった。
「ここで今話すことは、君を信用して話すことだ。
他言は無用。いいかい?」
ごくりと唾を飲み込んで、覚悟を決める。
「はい」
社長が座っているデスクの手前に応接スペースがあり、ソファとテーブルがある。
デスクに置いてあるネームプレートには『代表取締役社長 七橋雄一』の文字。
当然ながら、秋の本名が七橋秋なら、晴くんの本名も七橋晴だ。
晴くんに促されて高級そうな3人掛けのソファに座り、晴くんも何の緊張感もなく私の隣に座った。
社長は目を落としていた書類をデスクに置き、ゆっくりと立ち上がってこちらに歩いてきて、向かいのソファに腰かける。
その仕草だけで、厳めしく近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
きっと特に表情を作っているつもりはないんだろうけど、眉間に刻まれた大きなしわのせいで怒っているようにすら見える。
これが大企業の社長というものなのかと思ったらますます緊張してしまって、心臓の音が早くなる。
「ここに来たことを、秋は知らないよね?」
「…はい」
その言葉だけで、私にとって嬉しい話じゃないことは容易にわかった。
「ここで今話すことは、君を信用して話すことだ。
他言は無用。いいかい?」
ごくりと唾を飲み込んで、覚悟を決める。
「はい」