《クールな彼は欲しがり屋》

健太郎の唇が離れて、ゆっくり瞼を開けてみた。

「すき焼きの味がするから、このまま慶子を食べて帰りたくなってきた」

「え、それって?」

「困る?」

それは、きっとキス以上の関係を健太郎が望んでいる、そういうことだ。

ブラジャーは、一年前と同じだ。

しかも下は、ブラジャーと違う色。

迷っていると健太郎が私の頭をくしゃっとした。

「了解。次回にしよっ」

「いいの?」

「ああ、そのかわり、今度は俺の前からいなくなるなよ?」

健太郎の目が細くなっていた。

「うん。わかってる」

健太郎の腕が伸びてきて、私はぎゅっと抱きしめられた。

今、私....ときめいてる。

これが恋だ。

抱きしめられながら、健太郎の首筋に顔を埋めた。

私、健太郎が好きだ。

そう思って瞼を閉じて健太郎の首筋に触れるか触れない程度のキスをした。
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