少年少女宇宙航行記
ふと、まっすぐに伸びた道を見据えると交差点には電工掲示板があった。そこにこう、かかれていた。

地球、公転軌道が変化。50年後には地表温度が500度をこえると中央政府が試算。

そのニュースは二人の脳天を貫いた。
後で調べると、公転軌道のずれは天変地異ではなく、核爆発によって地球のバランスが崩れたことによるものだと彼は知った。

彼は先人を恨んだ、大人を恨んだ、世界を恨んだ。

「地球が滅亡するとき、お前らの大半はあの世にいってるだろうけど俺らは生きてんだよ…」

次の日の放課後、彼はナルミと公園に行った。ナルミは絶望と不信感に満ちた顔をしていた。彼は静寂を破ってこう切り出した。

「なぁナルミ。俺らが大人になるとき、地球は地獄になるんだ。なのに、今の大人や政府はそれを無視して自分勝手に暮らしている。子孫を見捨てたんだ。」

ナルミの瞳から涙が溢れた。閉じても涙の止まらない瞳をジュピターの胸に押し当てて泣いた。

それを遮るようにジュピターは言った。
「大人たちが俺ら子供を見捨てるなら、俺らも大人を見捨てよう。」

「どういう事?」
ナルミは首をかしげた。

「つまり、俺らは宇宙に脱出する。そのときに大人をおいて若い人だけで脱出するんだ。」ジュピターは狂気にとりつかれたように言った。


そして彼はこう、続けた。

「宇宙に出たら地球よりいい星を見つけてみんなで暮らそう。」と、一転に温厚な口調になった。

「俺たちの子供、そのまた子供もその星で幸せに暮らせるように。」
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