イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
みんなさわぐふたりを遠巻きに見ていただけだったのに、その人だけはためらうことなくまっすぐに進んでいく。
背の高い、整った顔の男の子。
それは、拓海だった。
私のピンク色の下着を握っていた男の子の手を、乱暴につかむと下ろさせる。
『くだらねぇ』
心底軽蔑するように低い声で言い放たれ、それまで楽しげだった男の子たちが表情をかえた。
『はぁ? なんだよ窪田。なんか文句あるのかよ』
『だから、くだらねぇって言ってんだよ!』
その瞬間、拓海がこぶしを振りかぶった。
一ミリの躊躇もなく目の前の男の子の顔面を殴りつけた。
見ていた女の子たちから、一斉に悲鳴が上がる。
大騒ぎになにごとかと駆け付けた先生に、拓海は取り押さえられたけれど、それでも怒りに満ちた目で男の子たちを睨みつけていた。
いつもの涼しげな表情とは違う、感情をむき出しにした拓海。
あの拓海が、私のために怒ってくれた。
そう思うと喜びと動揺でその場にうずくまったまま動けなくなってしまった。
その瞬間、私は心を奪われてしまった。