イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
ふたりで同時に顔を上げると、壁に付けられたモニターの中で、満面の笑みを浮かべた女の子が手を振っていた。
『拓海くーん。遊びにきたよー』
聞き覚えのある、語尾が上がる可愛い声。
「里奈……?」
ぎょっとして顔をしかめると、拓海は冷蔵庫についていたひじを下ろし、だるそうに玄関の方へと歩いて行った。
「急に来てごめんね? 里奈も拓海くんに手料理食べさせてあげたくて」
すぐに玄関の方からにぎやかな声が聞こえてくる。
両手に紙袋を持った里奈が拓海の後ろについてリビングに入ってきた。
キッチンでぼうぜんと立ち尽くす私をみつけた里奈が、「お姉ちゃんは今日作らなくていいよ。私がおいしーい料理を持ってきたから」とにっこりと笑った。