イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「知ってて、諦められねぇの?」
信じられないといいたげな拓海の問いかけに、意味が分からず口ごもる。
「普通、彼女がいるって知ってたら諦めるだろ。なのに、そいつのために処女捨てようとしたり、料理の練習したり、服を買ったり。お前バカじゃねぇの?」
その言葉が、胸に突き刺さった。
たしかにその通りだ。私はバカだ。
いくら拓海を好きでいても、私には望みがないってわかりきってるのに。
諦めきれずにこうやってみっともなく無駄な悪あがきをして、本当にバカみたいだ。
ぐっと喉の奥から想いが込み上げてきて、必死に歯を食いしばる。
まばたきをすれば涙があふれてしまいそうで、眉をひそめまぶたに力をいれていると、大きなため息が聞こえた。
「そんな、泣きそうになるほどあいつのことが好きなのかよ」
私を見下ろした拓海が、なげやりだけど少しさみしそうな口調でそうぶつやく。
その時、ピンポーンと玄関からチャイムを押す音がした。