イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

拓海と里奈のことが気になって寝付けなくて、約束の時間を過ぎても寝過ごすなんて情けない。

結局気づいたら寝てしまっていたけど、里奈は家に帰ってきたんだろうか。
もしかして、朝まで拓海といっしょに……?

そう思うとずきりと胸が痛んだ。

「スミレさん、すみません……」

うつむいてもう一度謝ると、電話の向こうのスミレさんが声のトーンを落とした。

『佳奈ちゃん、なにかあった?』
「えっと……」

突然そう問われ、驚いて口ごもる。

『なんか、落ち込んでるよね?』

こんな短いやりとりで、落ち込んでいるのがばれてしまった。

なんと言っていいのか戸惑っていると、スミレさんが『信彦、ちょっと車出してくれる?』と近くにいる川口さんに声をかけた。

『佳奈ちゃん。今から信彦に家まで迎えに行かせるから、この前買った服とかメイク用品とか一式もってうちに遊びにおいで』

有無をいわせぬ強い口調に気圧されて、瞬きしながら頷いた。



 
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