イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 




スミレさんのおうちにつくと、温かいココアをだしてくれた。

前に、拓海に抱いてくださいってお願いした翌日も、こうやってココアをのみながら話を聞いてもらったな。
一か月前のことを思い出しながら「ありがとうございます」と頭を下げる。

「それで、妹の里奈ちゃんは家に帰ってきたの?」

昨日のできごとを説明すると、スミレさんがそう聞いてきた。

「はい。私が起きた時にはもう玄関に靴があったので、帰ってきたんだと思います」

里奈は寝ているのか、自分の部屋に閉じこもったまま出てこなかったから顔を合わせることはなかったけど、私は朝方まで起きてたから少なくとも朝帰りなのは間違いない。

里奈はあの部屋に泊まったんだ。そう思うと胸が苦しくなる。

「それにしても、買った料理を持って突撃してくるなんて、佳奈ちゃんとは正反対の妹だねぇ」

私の話を聞いた川口さんが、ダイニングテーブルに頬杖を付きながら感心したようにつぶやいた。


 
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