イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 




「どこかで見たことあるなぁと思ったら、総務の子かぁ」

私の右隣に座るスポーツ選手みたいな短髪の男の人が、白い歯を見せさわやかに笑う。

「いつもは眼鏡かけてたよね。今日はコンタクト?」

そう言いながら顔を覗き込まれ、ぜんまいが壊れた人形みたいにこくこくと首を縦に振る。

「さっき先輩のスミレさんに眼科があるコンタクトレンズ屋さんに連れて行ってもらって、生まれて初めてつけました」
「初めてだったんだ?」

その問いかけにまた首を縦に振る。

さすが営業さんだけあって、話し上手で聞き上手だな、と感心しながら辺りの様子を見回す。
十五人ほどの飲み会で、みんなで一緒に話すのではなく、席の近いもの同士自然と会話をしている。

私なんかのそばに座ってびんぼうくじを引いたであろう彼も、そんなそぶりは見せず優しく話し相手をしてくれていた。


 

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