イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「そ、それは拓海のことが好きだってばれないように、必死に嘘をついて……」
「なんで?」

私が口ごもると、容赦なく続きを促される。

「拓海が、『処女なんて面倒だから絶対付き合いたくない』って言ってるのを聞いちゃったから、私がずっと拓海に片思いしてたなんてバレたら引かれると思って」
「は?」

私の言葉に拓海が眉を上げた。

「そんなこと、言ったか?」
「高校の時に友達にはっきりそう言ってたよ。中学の時からずっと拓海に片思いをしてたけど、そんなこと聞いちゃったからそれから告白もできずにずっと苦しんでたんだからね」

あんな最低なことを言っておいて、忘れてるのか。ひどすぎる。
顔をしかめた私に、拓海は驚いたように目を見張った。

「中学の時って、そんなに前から俺のことを好きだったのか?」
「わ、悪かったわね……」
「それなら最初から言えばよかったのに。俺のことが好きだって」

私のこの繊細な乙女心が一切理解できない拓海は、不思議そうに首をかしげる。


 
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