イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 
至近距離で睨まれると居心地が悪くて正座をした自分の膝を見下ろす。
すると腕を掴まれた。そのまま腕をとり私を立ち上がらせると、胸の中に閉じ込められる。

抱きしめられていることに気付いて、驚きで体がこわばってしまう。
そんな私の耳元で、拓海が吐息を振り絞るように囁いた。

「……嫉妬で、頭がおかしくなるかと思った」
「嫉妬……?」

拓海が、私に? どうして、そんな……。

意味が分からず混乱していると、私を抱きしめた拓海がふてくされたように舌打ちをする。

「なんか、お前には昔から嫉妬させられてばっかりだな」

身に覚えのない言いがかりをつけられ困惑していると、拓海が私の頭にあごをのせて口を開く。

「思い出した。高校の時もクラスの男がお前のことが可愛いってほめてるのを聞いて、腹が立ったからそう言ったんだった」
「えぇ?」
「そいつがお前に告白するとか言うから、『恋愛経験のない女なんて絶対面倒だから付き合いたくない』って、思いっきりけなして告白しないように仕向けた」
「ひっど……!」


 
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