イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「あ、私の眼鏡、スミレさんが預かってくれてるって」
昨日買ったコンタクトレンズと一緒にかけていた眼鏡を袋に入れてもらい、そのまま食事をしたお店に忘れてしまっていたようだ。
みつかってよかった。
安堵して肩を下ろすと、拓海が首をかしげて私を見下ろす。
「取りに行くのか?」
「うん。眼鏡ないと大変だし、スミレさん今日は家にいるっていうから行ってくる」
「そのスミレさんって、川口さんの恋人だって言ってた先輩?」
「そうそう。川口さんと一緒に暮らしてて……」
私が頷いてそう言いかけると、拓海の切れ長の瞳がすっと細くなった。
「俺もついてく」
「へ?」
言葉を遮るように言われ、戸惑いながら拓海を見上げる。
なんだか急に拓海の機嫌が悪くなった気がする。
「大丈夫だよ。眼鏡を取りに行くくらいひとりでも」
「でもお前、裸眼だとあんまり見えないんだから危ないだろ」
「あ、そっか」
スミレさんの家には何度か遊びにいったことがあるけど、確かに眼鏡なしのぼやけた視界でひとりで行くのは不安だ。
「じゃあ、お願いします」
私がぺこりと頭を下げると、拓海が不機嫌そうな表情のままうなずいた。