イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
拓海のマンションから逃げ出して帰り道を早足で歩きながら、先週末、先輩と交わした会話を思い出す。
『二十五歳にもなって恋愛経験ゼロで、初恋の人に十年以上片思いをし続けている』
お酒も食事も美味しいと評判の気取らない居酒屋さんでご飯を食べている最中、自然と恋愛の話題になってなにげなくそう言った私に、同じ総務部で働く四歳年上の堤スミレさんは目を見開いた。
「十年以上同じ人に、告白もせずに片思い!?」
身を乗り出して問われ、私は肩をすぼめコクコクと首を縦に振る。
確かに自分でも少し長い片想いかなとは思っていたけど、そこまで驚かれるとは思ってなかった。
スミレさんの剣幕になんだか恥ずかしくなって、眼鏡を直すふりをして両手で頬を隠す。