イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「いいんです!」

叫ぶように言った私に、ふたりの視線が集まった。

「拓海には彼女がいるので、失恋決定ですし」
「え、窪田彼女いるんだ? 聞いたことなかったな」

私の言葉に、川口さんが意外そうに首をかしげる。
するとスミレさんもうなずいた。

「窪田くんに彼女がいるならすぐに女子社員の噂になりそうだから、社内恋愛ではないのかな。社外の子か、それともどこか地方の支社か……」

うちの会社は若い社員が多いので、社内恋愛や社内結婚に好意的だ。
同じ趣味の人たちが集まって作られたクラブ活動や、他部署との交流会という名目の社内合コンも多いから、人気のある男性社員に彼女がいるのかいないのかはすぐに女子社員の間で広まる。

私も今まで拓海に彼女がいると言う噂は聞いたことなかった。

「でも、昨日ちゃんと本命の彼女がいるって言ってました。それに、彼女がいようがいまいが、昨日の拓海の反応で自分に一ミリものぞみがないのはわかったので、いい加減諦めます」


 
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