イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
私が暗い表情でそんなことを考えていると、拓海が持っていた箸をおいた。そして小さく息を吐く。
「悪い。突然押し掛けるなんて迷惑だよな」
私に向かって謝った拓海の、傷ついたようなさみしげな顔に息をのむ。
「いや……、迷惑とか、では……」
突然そんな憂いを帯びた表情でため息をつかれたら、動揺してしまう。
「なんか無性に子供の頃の生活が懐かしくなって。突然きたのにこうやって歓迎してもらえたのがうれしくて、ずうずうしく家に上がって悪かった」
ぺこりと頭を下げられ、心臓がぎゅっと掴まれたような気がした。
拓海は頭を上げると視線を母へと向ける。
「久しぶりにおばさんの手料理を食べられて嬉しかったです。親が離婚してひとり暮らししてから、家庭料理なんて作ってもらうことなかったから」
そう言われた母が手で口を覆った。
そんな整った顔でそんなさみしげなことを言われたら、母性本能のかたまりのようなおせっかいな母はひとたまりもない。