イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「へんなお姉ちゃん。拓海くん、お姉ちゃんなんて気にしないで、もっといっぱい遊びに来ていいからねー」
そう言って語尾にハートマークが付きそうなかわいい声で笑うのは、妹の里奈。
里奈は拓海の隣の席を陣取り、腕に絡みつきそうな勢いで身をよせにっこりと笑う。
「里奈、なに勝手なことを言ってんの!」
「お姉ちゃん、こわーい」
くるりとゆるく巻かれた茶色の髪が、細い肩の上で揺れた。
大学生の里奈は、姉の私とは似ても似つかない可愛らしい女の子だ。
拓海の肩口にすり寄る子猫のような甘えるしぐさが、嫌味なく似合ってしまう美少女。
私と拓海よりも五歳年下の里奈は、小さい頃から拓海によく懐いていた。
『拓海くんすきすきー!』なんて言いながら、拓海のあとをついてまわっていたっけ。
素直に好意を表に出せる彼女がうらやましくなる。
私も里奈みたいに可愛かったら、こんな不毛な片想いを十年以上も抱えることにならなかっただろうな。