イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

クセのないストレートの黒髪。地味顔の自分にはどうせ似合わないからと、一度もパーマもカラーもしたことがない。
つやつやの髪はいつも鎖骨の下あたりの長さで切りそろえている。

色白の肌に大きな黒縁の眼鏡。
二十五歳にもなってしゃれっ気も化粧っ気もなく、高校生みたいに色気がないとバカにされる私。

異性から女としてみられることがない私は誰とも付き合うことのないまま、気づけば生まれてから四半世紀が過ぎていた。

『このままぼんやりしていたら、あっという間に三十歳になるわよ』と仲良くしてくれいてる会社の先輩に脅されたのが、拓海にこんなことを頼んだきっかけだったんだけど……。


「それで、とりあえず処女を捨てたくて俺のとこに来たのか?」

私の言葉を聞いた拓海が、うんざりした表情でこちらを見下ろす。

私は『とりあえず』なんて安易な気持ちでここに来たわけじゃないんだけど、すべてを正直に話すと面倒なことになりそうだから、ここは少し不本意だけど「そうです」とふくれっ面でうなずく。


「アホか」
「……ひどい」

さっきからバカとかアホとか、人のことを容赦なく罵りすぎだと思う。
もうちょっと優しくしてくれたっていいのに。


 
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