イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

本当は、もっとおしゃれな料理をパパっと作って拓海を驚かせてやりたかったけど、料理の師匠である母に『初心者が生意気に無謀なことをしようとするな』と言い聞かされたので仕方ない。

「いや、うまそう」

拓海は嬉しそうに言って、テーブルの前に座る。
「いただきます」と手を合わせた拓海が料理に箸をつける。

どうかな。
お味噌汁、しょっぱすぎたり薄すぎたりしないかな。
ごはんも今日はちゃんと炊けたと思うんだけど、大丈夫かな。

緊張で息をのんでみつめていると、拓海が吹き出すように笑った。

「お前、見すぎ」
「いや、だって……、一生懸命練習したから」

拓海が私の作った料理を食べて、どんな反応をするのか気になるんだもん。
ドキドキしながら口ごもると、拓海が私の顔をのぞきこんで笑う。

「そんな不安そうな顔しなくても、ちゃんとうまいよ」
「ほんと!?」
「人は一週間でこんなに成長できるんだなって、驚いた」
「いや、それは大げさ」


 
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