イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
専業主婦の母がいつも料理を作ってくれた我が家とは対照的に、拓海の両親はどちらも第一線でバリバリ働いていて、いつも留守がちだった。
それを気にした母が、よく拓海を家に呼んでみんなで食卓を囲んでいた。
そのころの記憶がよみがえると、拓海がひとりぐらしをしているこの部屋がなんだかさみしく思えてしまう。
「こんなのでよければ、毎日でも作ってあげるよ」
私が身を乗り出すと、拓海が箸を止めた。
「毎日でも?」
眉をひそめて問われ、さすがに図々しい提案だったなとはっとする。
料理をおいしいとほめてもらえたことが嬉しくて、浮かれてしまった。
ちゃんと彼女がいる拓海が、好きでもない女に毎日料理を作ってあげるなんて言われても迷惑でしかないだろう。