イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「じょ、冗談だよ。毎日拓海の家で料理を作るなんて、そんなの……」
慌てて首を横に振ると、テーブルの向こうに座る拓海が私の手をぎゅっと掴んだ。
「一生懸命料理を練習したって言ってたけど、それって俺をよろこばせるため?」
掴まれた手首に熱が集まる。動揺と焦りで、ぶわっと頬が赤くなった。
「ち、ちがうし……!」
彼女でもない女に、あなたのために一生懸命料理を作る練習をした、なんて言われたら絶対引く。
しかもこんなかわいくない地味女に。
「べ、別に拓海のためじゃないから……! これは、自分のためというか、将来のためというか……っ!」
なんとか誤魔化そうと早口で思いついた言い訳を並べる。
「将来のため?」
「そ、そう! ほら、将来結婚したりしたら、料理くらいできないと困るかなと思って……!」
結婚できる見込みなんてないくせに、そんな苦しい言い訳しかみつけられない。