イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
頭からお味噌汁を被った私は、拓海の家のシャワーをかりていた。
シャワーヘッドから降り注ぐお湯を受けながら、「はぁーっ」と顔を覆ってため息をつく。
……なにやってるんだ、私。
いいかげん不毛な片思いはあきらめて前に進むって決めたのに、拓海に振り回されてばかりだ。
床を叩く水音。たちこめる湯気。
自分を落ち着かせるように、シャワーに打たれながらバスルームの中を見渡す。
シャンプーとコンディショナー、ボディーソープ。
バスルームに置いてあるものは、男女問わず使えるシンプルなものだった。それを無意識に確認してほっとしている自分がいる。
もしここに、女性向けのかわいらしいパッケージのメイク落としや洗顔フォームが置いてあったら、彼女の存在を思い知ってシャワーに打たれながら泣いてたかもしれない。
あってもなくても、拓海に本命の彼女がいる事実に変わりはないのに。