イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
視界に入った白く曇った鏡に、ぼんやりと自分の姿が映る。
手のひらで曇りと水滴を払うと、鏡の向こうから自分がこちらを見ていた。
ぼんやりと指で唇をなぞる。
……拓海と、キスしてしまった。
彼女がいるくせに最低だ、と怒らなきゃいけないのに、くやしいくらい嬉しいと思ってしまう自分がいた。
もう諦めたと思っていたはずなのに、まだ拓海のことがこんなに好きなんだ。
諦めの悪い自分が情けなくて、少し泣けた。