彼の甘い包囲網
「……送る」


私の指を唇から離して、指を絡めたまま奏多は車のキーを取りに歩き出した。

「え、いいよ。
奏多、私、電車で……」


むしろ離れたい……!

き、緊張して、心臓がもたない……!

話しかけた途端。


ちゅ。

キス、された。

「なっ!!」

「……意味不明なことを言わない。
こんな時間に楓を一人で電車に乗せれるわけ、ないだろ。
お前、それでなくても可愛すぎて目立つのに。
っつーか、普段も電車に乗せたくない。
公共の乗り物、全て嫌だ」


この人誰?

奏多、こんな人だった?

こんなこと言う人だった?

何処をどう見ても目立つのはあなたでしょ!

電車に乗せたくない、って何!

何よりも。

真っ赤になりすぎて頭がボウッとする。


「……意味わかんない……」

「俺、ずっとそう思ってたからな。
……今までは楓の気持ちがわからないから言わなかっただけ。
……楓に押し付けるなって柊に散々言われてたから。
後、この部屋に千春とハウスキーパーさん以外の女は入れたことないから。
今までもこれからもお前だけだ」

奏多が言う。

「楓が好き、って言ってくれたから。
これからは遠慮しない」

ぎゅ、と絡めたままの指に奏多が力をこめる。

「楓は誰にも渡さないし、触らせない。
俺の俺だけのものだ」

真剣な瞳に射抜かれて。

奏多の想いの深さを知った気がした。
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