彼の甘い包囲網
「……か、かな、か、」
恥ずかしくて呼べない。
こんなに艶やかな瞳に、顔を覗きこまれて。
抱きすくめられて。
正気で呼べるわけがない。
「ん?」
「かな、かな……、かな、、たさん」
「さん、はいらない。
……もう一回。
ついでに敬語もナシ」
甘く、ねだるように言って奏多は私の前髪を長い指で掻きあげる。
ドクン!
無防備な素肌に長い指が直に触れて。
心臓が動揺を告げる。
「か……かな……た……」
「よくできました」
意識を根こそぎ持っていかれそうな甘い笑顔で奏多は微笑む。
「楓」
耳朶を震わせる低い声が私の名前を紡ぐ。
その音に胸が震える。
呼び捨てで呼ばれた名前は特別な響きをもつ。
「他の男と二人にならないで。
……簡単に触れさせないで。
俺だけにして」
妖艶な雰囲気を漂わせて、奏多は私の黒髪にそっと口付けた。
頬に優しく奏多の細い指が触れる。
「……っ!」
「わかった?
俺だけ、な。
楓が呼んだらすぐに駆けつけるから」
「な、何で……」
「俺が楓を離さないから」
綺麗に弧を描く唇の口角をあげて。
少し燻った紅茶色の瞳が私を射抜く。
「その顔も可愛すぎるから禁止。
楓、返事は?」
奏多が顔を近づける。
その表情さえ素敵すぎて、胸が痛い。
「言うこと聞かないならキスするけど?」
「……いっ!!」
何故追いつめられているのかわからないけれど、私は慌てて頷いた。
「イイコ」
奏多は艶やかな笑みを浮かべて私の頬にキスをした。
強烈な何かに捕らわれた、そんな予感が頭を掠めた冬だった。
恥ずかしくて呼べない。
こんなに艶やかな瞳に、顔を覗きこまれて。
抱きすくめられて。
正気で呼べるわけがない。
「ん?」
「かな、かな……、かな、、たさん」
「さん、はいらない。
……もう一回。
ついでに敬語もナシ」
甘く、ねだるように言って奏多は私の前髪を長い指で掻きあげる。
ドクン!
無防備な素肌に長い指が直に触れて。
心臓が動揺を告げる。
「か……かな……た……」
「よくできました」
意識を根こそぎ持っていかれそうな甘い笑顔で奏多は微笑む。
「楓」
耳朶を震わせる低い声が私の名前を紡ぐ。
その音に胸が震える。
呼び捨てで呼ばれた名前は特別な響きをもつ。
「他の男と二人にならないで。
……簡単に触れさせないで。
俺だけにして」
妖艶な雰囲気を漂わせて、奏多は私の黒髪にそっと口付けた。
頬に優しく奏多の細い指が触れる。
「……っ!」
「わかった?
俺だけ、な。
楓が呼んだらすぐに駆けつけるから」
「な、何で……」
「俺が楓を離さないから」
綺麗に弧を描く唇の口角をあげて。
少し燻った紅茶色の瞳が私を射抜く。
「その顔も可愛すぎるから禁止。
楓、返事は?」
奏多が顔を近づける。
その表情さえ素敵すぎて、胸が痛い。
「言うこと聞かないならキスするけど?」
「……いっ!!」
何故追いつめられているのかわからないけれど、私は慌てて頷いた。
「イイコ」
奏多は艶やかな笑みを浮かべて私の頬にキスをした。
強烈な何かに捕らわれた、そんな予感が頭を掠めた冬だった。